命売ります [文学]
先日、ポプラ社から齋藤 智裕氏の「KAGEROU」![[本]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/70.gif)
が発売され、テレビでそのあらすじが紹介されていたのですが、その時、ふと思い出したのは小学生の頃読んだ「命売ります」という作品。
※「KAGEROU」は読んでいません。
初めてその作品に出合ったのは、どこかの喫茶店にあった古い雑誌。
「自分が生まれるより前の本だー」とやや感心しつつ手にとってパラパラめくっていくと、その中に小説が連載してありまして、ちょうど主人公の男がどこかの秘密組織から仕事の依頼を受けるというシーンが描かれていました。
ただ、読んでいる途中で、大人に取り上げられ、怒られたことを覚えています。
…雑誌は、確か「プレイボーイ」か何か、とにかく成人男性向けの本![[キスマーク]](https://blog.ss-blog.jp/_images_e/149.gif)
だったと思います。
当時、私は「００７シリーズ」や「スパイ大作戦」などのスパイ物が大好きで、スパイと名のつく物には何でも飛びついていました。
その頃は「００７」はロジャー・ムーアがやっていましたが、私の中ではショーン・コネリーが最高のジェームズ・ボンドでした。図書館でよく本を借りて読んでいましたが、昭和40年代に出版された本で「〇〇七号」と書かれていました。あとジェラール・ド・ヴィリエの「SAS」シリーズも愛読していました。
当然、小学生には読めないような漢字もたくさん出てきましたが、飛ばしても話の流れに差しさわりがないものは飛ばし、分からなくてはストーリーも分からなくなるものは辞書で調べながら読んでいました。
すみません、話を戻します。
ある日、近くの古本屋によると、何とこの「命売ります」が50円で売られています。さっそく買って読みました。
ストーリーは、27歳の男性が人生を空しく感じ、自殺を試みるも失敗し、「命売ります。当方27歳。秘密は守ります」という広告を出すところから始まります。
広告を見て、やってくるさまざまな依頼人。
吸血鬼にギャングにスパイに…。
刹那的に生き、命というものに無頓着な間は、どんな依頼も難なくこなせていましたが、「まだ生きたい」という気持ちが生じると共に、さまざまな恐れや不安が押し寄せ…！！
この作品の元ネタと思われる事件が昭和23年にありました。
●命売ります（昭和23年）
昭和23年2月21日，「5万円で命売ります」という広告が名古屋の松坂屋など市内18カ所に張り出された．この広告は22歳の青年が掲示したもので，青年の父親が病気だったためその医療費5万円を稼ぐための広告だった．戦争により生命の価値が低下していたとはいえ，この広告は多くの人たちの関心をよんだ．最初の買い手は宝塚で現れた．しかし買い手との面接で折り合いがつかず，買い手は1000円の破綻金をだして取り止めとなった．その他，命の買い手が何人か現れ交渉に入ったが，値段の折り合いがつかず商談はいずれも失敗に終わった．そうこうしているうちに，父親の病状が悪化して死亡したため，この商売は中止となった．青年は「命売りは止め」との声明を出し，近くの工場で地道に働くことになった．この青年のまねをした「命売ります」の広告は新潟，東京など数カ所でだされ，その中には「純日本人娘の方に命売ります」という広告もあった．戦争は人間の生命を軽く扱い，第二次世界大戦では300万人の日本人が犠牲となった．そして戦争が終わってみれば，帰る家も家族もなく，現金も貯金もなく，生活の保障もなかった．「命売ります」はこのような時代を象徴する事件であった．
ちなみにこの作者・三島由紀夫が「金閣寺」や「潮騒」などで知られる日本を代表する作家であることを知ったのは中学生になってからのことでした。
が発売され、テレビでそのあらすじが紹介されていたのですが、その時、ふと思い出したのは小学生の頃読んだ「命売ります」という作品。※「KAGEROU」は読んでいません。
初めてその作品に出合ったのは、どこかの喫茶店にあった古い雑誌。
「自分が生まれるより前の本だー」とやや感心しつつ手にとってパラパラめくっていくと、その中に小説が連載してありまして、ちょうど主人公の男がどこかの秘密組織から仕事の依頼を受けるというシーンが描かれていました。
ただ、読んでいる途中で、大人に取り上げられ、怒られたことを覚えています。
…雑誌は、確か「プレイボーイ」か何か、とにかく成人男性向けの本
だったと思います。当時、私は「００７シリーズ」や「スパイ大作戦」などのスパイ物が大好きで、スパイと名のつく物には何でも飛びついていました。
その頃は「００７」はロジャー・ムーアがやっていましたが、私の中ではショーン・コネリーが最高のジェームズ・ボンドでした。図書館でよく本を借りて読んでいましたが、昭和40年代に出版された本で「〇〇七号」と書かれていました。あとジェラール・ド・ヴィリエの「SAS」シリーズも愛読していました。
当然、小学生には読めないような漢字もたくさん出てきましたが、飛ばしても話の流れに差しさわりがないものは飛ばし、分からなくてはストーリーも分からなくなるものは辞書で調べながら読んでいました。
すみません、話を戻します。
ある日、近くの古本屋によると、何とこの「命売ります」が50円で売られています。さっそく買って読みました。
ストーリーは、27歳の男性が人生を空しく感じ、自殺を試みるも失敗し、「命売ります。当方27歳。秘密は守ります」という広告を出すところから始まります。
広告を見て、やってくるさまざまな依頼人。
吸血鬼にギャングにスパイに…。
刹那的に生き、命というものに無頓着な間は、どんな依頼も難なくこなせていましたが、「まだ生きたい」という気持ちが生じると共に、さまざまな恐れや不安が押し寄せ…！！
この作品の元ネタと思われる事件が昭和23年にありました。
●命売ります（昭和23年）
昭和23年2月21日，「5万円で命売ります」という広告が名古屋の松坂屋など市内18カ所に張り出された．この広告は22歳の青年が掲示したもので，青年の父親が病気だったためその医療費5万円を稼ぐための広告だった．戦争により生命の価値が低下していたとはいえ，この広告は多くの人たちの関心をよんだ．最初の買い手は宝塚で現れた．しかし買い手との面接で折り合いがつかず，買い手は1000円の破綻金をだして取り止めとなった．その他，命の買い手が何人か現れ交渉に入ったが，値段の折り合いがつかず商談はいずれも失敗に終わった．そうこうしているうちに，父親の病状が悪化して死亡したため，この商売は中止となった．青年は「命売りは止め」との声明を出し，近くの工場で地道に働くことになった．この青年のまねをした「命売ります」の広告は新潟，東京など数カ所でだされ，その中には「純日本人娘の方に命売ります」という広告もあった．戦争は人間の生命を軽く扱い，第二次世界大戦では300万人の日本人が犠牲となった．そして戦争が終わってみれば，帰る家も家族もなく，現金も貯金もなく，生活の保障もなかった．「命売ります」はこのような時代を象徴する事件であった．
昭和20年小事件１より
ちなみにこの作者・三島由紀夫が「金閣寺」や「潮騒」などで知られる日本を代表する作家であることを知ったのは中学生になってからのことでした。
- 作者: 三島 由紀夫
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1998/02
- メディア: 文庫
2010-12-30 18:06
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新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします＾＾
「命売ります」タイトルは聞いた事がありますが、海外のハードボイルド小説かと思ってました＾＾；
しかし、実際の広告が元ネタとは。。。
今の世の中も殺伐としてますが、昔の世の中もある意味狂気の沙汰？のような事が本当にあるんですよね。。。
by マイン (2011-01-02 11:22)
マインさん、コメントありがとうございます(^-^)
本年もどうぞろよろしくお願いします。
(すみません、喪中なもので…)
ご存知でしたか。
私も、ハードボイルドなスパイ小説を求めて読んだんですが、「007」や「SAS」とはまったく違った趣の作品でした。それなりに楽しめたんですが。
やっぱりコレ、「プレイボーイ」で連載してました(汗
そりゃ、大人に怒られますな…。
>今の世の中も殺伐としてますが、昔の世の中もある意味狂気の沙汰？のような事が本当にあるんですよね。。。
情報が発達して、ニュースになるものが多くなったんだと思います。昔は昔で、今ではありえないような差別やいじめもあっただろうと思います。
by Tarot-Reader (2011-01-02 20:44)