解読できない本 [錬金術]
cucciolaさまのブログの中に「解読できない本の謎」という非常に興味深い記事がありました。
http://blog.livedoor.jp/cucciola1007/archives/2049117.html
暗号で描かれているのか、文字は解読できないそうです。
錬金術がかかわっているという噂ですので、その噂に基づいていこうと思います。
もともと錬金術師というのは、自分の研究の成果をそうやすやすと他人に教えてくれたりはしませんから、絶対に自分以外が読めないように暗号を作ります。
暗号の作り方も様々で、まるで無関係な料理のレシピのような暗号を作ったり、小説や神話にその暗号を隠す場合もあります。
[参考]
シェイクスピア・コードの補足と四つの元素
http://tarot-bibouroku.blog.so-net.ne.jp/2010-06-20
「カルタゴの女王ダイドー」 マーロウの作品2
http://tarot-bibouroku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-09
また、アルファベットを入れ替えて、全く読めないようにしてしまうケースもあります。
いずれにしても、作者が意図的に読めないように作成した暗号なので、ここからの解読は難しいでしょう。
書かれている文字を読むことができないなら、読む手掛かりは挿絵しかありません。
「絵を読む」のはタロット占い師の得意分野です。
本物のタロット占い師と素人を分けている一番のポイントはそこだと思います。素人は解説書を読みながら「正位置の意味は…」と、そのカードの説明ばかりを追いかけています。でも、本物はカードに描かれた絵の植物や着ているもの、持っているもの、置かれているもの…などの細部一つ一つから、その歴史的背景や象徴的意味を拾い、カードが伝えようとしているメッセージを読み解きます。もちろん、素人みたいに説明ばかりを追いかけてるプロ(←金が稼げるという意味)のタロット占い師もいますけどね。
話を本題に戻します。
もちろん、この本が解読できたわけではありません。あくまで記事の中にある画像からの推測です。
まず、最初の絵の女性が入浴しているもの。
「入浴」というのは錬金術では非常に頻繁に出てきます。
これは王(陽)と王妃(陰)を同じ浴槽に入れ、混ぜ合わせアンドロギュヌスにしてしまうというシーンです。
cucciolaさんの記事の画像では女性が12人いるように見えます。
「12」という数字で思いつくものは、カレンダー、時計、12星座…
ジョン・ダンは
just as some people learn alchemy from the Bible (or discover alchemy in the Bible)
と言っています。
…というわけで聖書の中の「12」。
一番に思いだすのはイエス・キリストの弟子でしょう。
他にも、創世記に出てくる部族も12、旧約聖書に出てくる預言者の数も12です。
入浴している女性たちの後ろですが、7本の柱が見えます。
「7」という数字も聖書にたくさん出てきますね。
7本の柱12人の女性…
聖書にこだわれば、この数字ですぐに思い浮かぶのは、12ヶ月(ユダヤの暦も12ヶ月で3月の中旬頃から1年が始まります)、そして、最初の7週間が過越祭。
そうやってみると「天文学」と呼ばれている部分は、古代ユダヤの暦と太陽暦をわかりやすくしたもの…?なんて風にも見えてくるのですが…太陽や月のような絵があるので、やっぱり天体図だと思います。
話を12人の女性の入る浴槽に戻します。
聖書から切り離して考えれば、「12」と「7」で単純に天体と考えることができます。
12は言うまでもなく12星座、7は太陽・月・火星・水星・木星・金星・土星の7つの星です。
金属で言うなら、それぞれ、金・銀・鉄・水銀・錫・銅・鉛に相当します。
7本の柱を7つの惑星に相当する金属、または植物と推測すれば、12人の女性は星座または月に相当する鉱物や植物と考えられます。
そこから考えると、この浴槽はそれらを煮るレトルトということになります。
あと「植物学」の挿絵、最初に錬金術っぽいと感じたのはここでした。
マンドラゴラに似てると思いました。葉っぱの形や実の色は違いますが、中世のヨーロッパで描かれたマンドラゴラなんて人間の頭に葉っぱや花が生えてるような感じなので、それよりはましかと。特徴ある根っこや丸い実がマンドラゴラっぽいです。
マンドラゴラについてはまた別の記事で描きたいと思います。
いずれにしても、錬金術的観点から解釈すると、様々に読みとれて、見れば見るほど面白い本だなと興味をそそられました。
http://blog.livedoor.jp/cucciola1007/archives/2049117.html
暗号で描かれているのか、文字は解読できないそうです。
錬金術がかかわっているという噂ですので、その噂に基づいていこうと思います。
もともと錬金術師というのは、自分の研究の成果をそうやすやすと他人に教えてくれたりはしませんから、絶対に自分以外が読めないように暗号を作ります。
暗号の作り方も様々で、まるで無関係な料理のレシピのような暗号を作ったり、小説や神話にその暗号を隠す場合もあります。
[参考]
シェイクスピア・コードの補足と四つの元素
http://tarot-bibouroku.blog.so-net.ne.jp/2010-06-20
「カルタゴの女王ダイドー」 マーロウの作品2
http://tarot-bibouroku.blog.so-net.ne.jp/2010-10-09
また、アルファベットを入れ替えて、全く読めないようにしてしまうケースもあります。
いずれにしても、作者が意図的に読めないように作成した暗号なので、ここからの解読は難しいでしょう。
書かれている文字を読むことができないなら、読む手掛かりは挿絵しかありません。
「絵を読む」のはタロット占い師の得意分野です。
本物のタロット占い師と素人を分けている一番のポイントはそこだと思います。素人は解説書を読みながら「正位置の意味は…」と、そのカードの説明ばかりを追いかけています。でも、本物はカードに描かれた絵の植物や着ているもの、持っているもの、置かれているもの…などの細部一つ一つから、その歴史的背景や象徴的意味を拾い、カードが伝えようとしているメッセージを読み解きます。もちろん、素人みたいに説明ばかりを追いかけてるプロ(←金が稼げるという意味)のタロット占い師もいますけどね。
話を本題に戻します。
もちろん、この本が解読できたわけではありません。あくまで記事の中にある画像からの推測です。
まず、最初の絵の女性が入浴しているもの。
「入浴」というのは錬金術では非常に頻繁に出てきます。
これは王(陽)と王妃(陰)を同じ浴槽に入れ、混ぜ合わせアンドロギュヌスにしてしまうというシーンです。
cucciolaさんの記事の画像では女性が12人いるように見えます。
「12」という数字で思いつくものは、カレンダー、時計、12星座…
ジョン・ダンは
just as some people learn alchemy from the Bible (or discover alchemy in the Bible)
と言っています。
The Songs and Sonnets of John Donne
- 作者:
- 出版社/メーカー: Palgrave Macmillan
- 発売日: 1983/10
- メディア: ハードカバー
…というわけで聖書の中の「12」。
一番に思いだすのはイエス・キリストの弟子でしょう。
他にも、創世記に出てくる部族も12、旧約聖書に出てくる預言者の数も12です。
入浴している女性たちの後ろですが、7本の柱が見えます。
「7」という数字も聖書にたくさん出てきますね。
7本の柱12人の女性…
聖書にこだわれば、この数字ですぐに思い浮かぶのは、12ヶ月(ユダヤの暦も12ヶ月で3月の中旬頃から1年が始まります)、そして、最初の7週間が過越祭。
そうやってみると「天文学」と呼ばれている部分は、古代ユダヤの暦と太陽暦をわかりやすくしたもの…?なんて風にも見えてくるのですが…太陽や月のような絵があるので、やっぱり天体図だと思います。
話を12人の女性の入る浴槽に戻します。
聖書から切り離して考えれば、「12」と「7」で単純に天体と考えることができます。
12は言うまでもなく12星座、7は太陽・月・火星・水星・木星・金星・土星の7つの星です。
金属で言うなら、それぞれ、金・銀・鉄・水銀・錫・銅・鉛に相当します。
7本の柱を7つの惑星に相当する金属、または植物と推測すれば、12人の女性は星座または月に相当する鉱物や植物と考えられます。
そこから考えると、この浴槽はそれらを煮るレトルトということになります。
あと「植物学」の挿絵、最初に錬金術っぽいと感じたのはここでした。
マンドラゴラに似てると思いました。葉っぱの形や実の色は違いますが、中世のヨーロッパで描かれたマンドラゴラなんて人間の頭に葉っぱや花が生えてるような感じなので、それよりはましかと。特徴ある根っこや丸い実がマンドラゴラっぽいです。
マンドラゴラについてはまた別の記事で描きたいと思います。
いずれにしても、錬金術的観点から解釈すると、様々に読みとれて、見れば見るほど面白い本だなと興味をそそられました。
2011-02-16 10:32
nice!(2)
コメント(4)
トラックバック(0)
Tarot-readerさま、
こんにちは!
リンクをしていただきありがとうございます。
さすが、本業のかたは絵から解読されるんですね。水浴している女性の数なんて私は思いもよりませんでした。
http://commons.wikimedia.org/wiki/Category:Voynich_manuscript
こちらをご覧になると、手稿のほとんどは目にすることができると思います。
錬金術ってヨーロッパでは非常によく聞く言葉なんですが、私にはピンと来ないんです。エリザベス二世時代のイギリスにも錬金術師は多かったそうですね。平野啓一郎さんの出世作も錬金術がテーマになっていたような記憶がありますが、本当に奥が深そうです。
またいろいろ教えていただけるのを楽しみにしております。
by cucciola (2011-02-17 02:27)
cucciolaさま、こちらこそ、コメントありがとうございます。
というか、文章が一部欠落しており、ちょっとカオスな感じになってました。ちゃんと加筆いたしました(汗
ぃゃ、まぁ錬金術なんてカオスなものなんでサクッと読み飛ばしていただければいいんですが。
URLありがとうございます!
見ているだけでもすごく面白いです。何か思いついたらまた書くかもしれません。
>本業のかたは絵から解読されるんですね。
本来タロットは「字のない書」と呼ばれていて、文盲な人にも理解できる本だったという説があります。
私が占い師になれたのは、その絵解きに最低限必要な知識があったからだと思います。
ルネッサンスの頃は、ヨーロッパのどこの国でも錬金術は盛んだったと思います。ダ・ヴィンチも錬金術に関する多少の知識はあったのではないかと思います。絵具などの顔料は鉱物から作られるものもありますし。
私の勝手なイメージですが、ミネラルの豊富なドイツやスイス辺りはかなり実践的な錬金術をやっていたように思います。逆にイギリスの錬金術はちょっとオカルトというか魔術よりな感じがします。ダーナ神族やケルト、アーサー王伝説のせいかもしれません。
エリザベス朝で有名な錬金術師と言えば、ジョン・ディーでしょうか。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%BC
やっぱりどっちかというとオカルト色が強いような…(^_^;)
cucciolaさまのように歴史を研究したいと思いつつも、どうしても文学の付録という形になってしまいます。
文学の中にはそれこそたくさんの錬金術が出てきます。単に卑金属を黄金に変えるというだけではなく、人の成長、心理学などにその考えが応用されているので、錬金術が頭に刷り込まれたようになってるのかも…。
たぶん、錬金術ネタはこれからも書くと思いますので、よろしければお付き合いくださいm(_ _)m
by Tarot-Reader (2011-02-17 23:22)
錬金術の本を買ったんですが、ある意味密教。。。的なイメージもありますが、錬金術から現代の化学が進歩した。。。ていう部分もあるのですよね。
一体どこからこういう発想が生まれたんだろう。。。
やはり実験と研究の末に生まれたのか、何かベースとなる考えがあったのか。。。
うーん、勉強しはじめるとすごく果てしないのでしょうね。。。^^;
by マイン (2011-02-20 21:39)
密教ですか…。
割とオカルト色の強い錬金術の本でしょうか(^_^;)
すみません、あんまり密教は詳しくないので。
錬金術はよく道教の錬丹術と対比させられることがあります。
起源は古代エジプトだったり、アラビアだったり…やっぱり諸説ありますよ。
by Tarot-Reader (2011-02-20 21:51)