ホ・ギュンとホン・ギルドン [歴史・人物]

世間より数年遅れて、私は今頃、韓流ブームです。
初じめて見た韓流ドラマが「快刀ホン・ギルドン」でした。本当にごく最近なんです。

快刀ホン・ギルドン BOX-I [DVD]

快刀ホン・ギルドン BOX-I [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD


ホン・ギルドンは武術にも学問にも優れていましたが、両班(リャンバンと読みます。官僚のこと)の庶子として生まれたため、その実力を発揮する場を与えられず、時には命を狙われることもあり、最終的には山賊たちと「活貧党」と名乗る義賊になり、仲間と理想郷を作り上げる話です。
ドラマ自体は、最後は原作と違いましたし、15世紀ごろなのに、中国のことを「清(シン)」と呼んでいたりして、少々ツッコミどころのあるドラマでしたが、半ば娯楽と割り切っていたので、楽しく見ていました。
ただ、私は韓流ロビン・フッドともとれるこのストーリーに、どこか儒教ならざるものを感じていました。
まぁ、最近はキリスト教の国になっているから、そのせいかとも思いましたが、原作は16世紀にホ・ギュンという人が書いたものです。

で、そのホ・ギュンに興味を持ち始めたころ、ちょうどドラマ「ホ・ギュン 朝鮮王朝を揺るがした男」が始まりました。
公式ウエブサイト
http://www.koretame.jp/hogyun/

ホ・ギュン 朝鮮王朝を揺るがした男 (DVD-BOX1)

ホ・ギュン 朝鮮王朝を揺るがした男 (DVD-BOX1)

  • 出版社/メーカー: 松竹
  • メディア: DVD



韓国には蛟山(キョサン)という山があります。この山にはこんな言い伝えがあります。
海底に大きな蛟(みずち)が住んでいました。蛟はそこにいれば静かに何の問題もなく過ごせたはずでした。しかし、蛟はあえて荒波の荒れ狂う浅瀬に向かいます。そこで何度も何度も嵐や波にもまれ、やがて脱皮し龍になり天へ昇っていきます。その時に脱ぎ捨てた皮が山になったのがこの蛟山。
ホ・ギュン(1569-1618年)はみずからの号をこの「蛟山」にしました。
もともとホ・ギュンは両班の家の三男に生まれ、幼いころから神童と言われ、ほっといてもエリート・コースが約束された身分でした。しかし、彼の周りには才能がありつつも、性別や身分のせいで、それを発揮するチャンスすら与えられない人ばかりでした。
庶子であったために志を遂げることなく、生涯放浪しながら詩を教えていた李達(イ・ダル)、自他共に認める詩の才能に恵まれながらも女だったためにそれを発揮する場を持てなかった姉の許蘭雪軒(ホ・ナンソロン)など、他にも多くの才能あふれる庶子たちと親交が深かったようです。

そんな現実を目の当たりにしながら育ったホ・ギュンは、ニートになっていました。結婚した後も科挙の試験を受けるでもなく、いつも友達と飲み歩いて、あげくに芸妓を家に連れ帰る始末…。
でも、その辺のニートと違ってホ・ギュンはもともと頭が良く、才能・実力・カリスマ性を備えた人でしたから、「このままではダメだ」と気づき、自分の志を遂げるために一大決心をし、25歳(1594年)で科挙を受験します。もちろん、首席で一発合格です。
折しも、日本から豊臣軍(1592-1598年)が攻めてきているさなかのことです。この戦でホ・ギュンは妻と長男を失います。

ホ・ギュンの志とは、身分の差別なく、平等に才能が認められる世です。
儒教の教えに行き詰まりを感じ、陽明学や仏教、天主教(キリスト教のこと)など、宗派の垣根を越え、貪欲に知識を広げいてったと言われています。1610年に中国で洗礼を受けて朝鮮初のクリスチャンになったとも伝えられています。
この辺が「ホン・ギルドン」から感じた「儒教ならざる」雰囲気かもしれません。というか、儒教を否定してるか…。

そして、庶孽党(しょげつとう)を組織し、庶子たちと革命を起こすのですが、結果、七人の優秀な庶子と多くの私兵を失います。
しかし、ホ・ギュンは再度、革命を遂げようと、さらなる年月を費やします。

しかし、結果は↓の通りです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BA%B6%E5%AD%BD%E5%85%9A#.E4.B8.83.E5.BA.B6.E7.8D.84.E4.BA.8B



近年まで、ホ・ギュンは謀反人としてその名を歴史に刻まれていました。
しかし、彼の思想のつまった「ホン・ギルドン」は時代を超え、国を超えて今でも、多くの人に愛されています。
nice!(3)  コメント(3)  トラックバック(0) 

nice! 3

コメント 3

葵ママ

この「ホン・ギルドン」は来月からホームドラマチャンネルHDというケーブルテレビ局が放送予定なので、私も今から楽しみにしています。

突っ込みどころ満載なのは、おそらくこれが“フュージョン時代劇”だからだと思われます。多少歴史的考証面でおかしなところはあっても、面白ければ現代的な要素も入れた方が良いじゃん!・・・的な。日本で言うと、「必殺シリーズ」に近い感覚ですね。

「チェオクの剣」、「必殺!最強・チル」、「京城スキャンダル」、「イルジメ」などがこのジャンルに入ります。割りと短めなので、韓国時代劇初心者にはお勧めです。
by 葵ママ (2010-07-25 21:36) 

マイン

Tarot-Redarさんが韓流??と、少し意外でしたが、記事を読んで納得^^;。トレンディドラマの類いではないんですね。
うちの母が韓流マニアなので、たまにチラっと見るんですが、結構重厚なテーマの作品もありますよね。
私が好きなのはチャングムの誓いです。ベタベタですが。。。汗

ちなみにうちの母は最近では中国の三国志のドラマまでレンタルしている始末です。もう、近所のツタヤの韓流ドラマは見つくしたそうです^^;
by マイン (2010-07-25 22:10) 

Tarot-Reader

葵ママさま、
コメントありがとうございます!
フュージョン時代劇というジャンルがあるんですね。
また、ぼちぼちお勧めの作品も見ていこうと思います。
今は、ホ・ギュン役のチェ・ジェソンさんにすっかりハマってしまい、「千秋太后(チョンチュテフ)」を見ています。
(オッサンだけど)チェ・ジェソンさん、本当、かっこいいです(≧∀≦)b


マインさん、
…やっぱり似合いませんか。
ぃゃ、ついでにトレンディー・ドラマにも挑んでみたんですが(シンデレラ・マンだったかな)5分で見るの辞めました。
何かちょっと合わなかったみたいです。

にわか韓流ファンなので、名前を聞いただけでは性別もわからないくらいです。そしてなかなか覚えられない…。
最近、漢詩の勉強をしてるのも、ホ・ギュンにあこがれたからなんです(〃∀〃)
by Tarot-Reader (2010-07-25 22:44) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。