アルフレッド・ジュエル [歴史・人物]
AELFRED MEC HEHT GEWYRCAN
側面にはそう書かれています。
現代語に訳すと"Alfred ordered me made"(アルフレッドの命により作られた)でしょうか。
正面から見るとこうなります。
水晶をはめ込まれた部分には、エナメルで男性が描かれています。おそらくキリストではないかと言われていますが、はっきりしたことは分かっていません。
男性が持っている二本の花が象徴するのは、曇りのない目です。
そして先端部分(下方)は獣の頭部です。これはイギリスがこれから直面する危機を表していると言われています。「これから直面する危機をまっすぐ見据え、立ち向かってほしい」と言わんばかりです。
大きさ6.1cmのこのジュエリーがどう使われていたのかは分かっていません。ブローチという説もありますが、獣の口(?)の部分に棒のようなものを刺していたのではないかと言われています。
これを作らせたアルフレッド(Aelfred または Alfred)とは、一体何者なのでしょう。
時は8世紀の終わりのイギリス。
スカンディナビアからやってきたバイキングは、放火や略奪により勢力を拡大し、王たちは戦に敗れ、逃亡していました。
そんな中、バイキングに立ち向かったのが、イギリス七王国の一つウェセックスの国王にしてイギリス唯一の大王アルフレッドでした。
(849-899)
イギリス七王国とは、アングロサクソン人がグレートブリテン島に建国した七つの王国のことで、ウェセックスはオクスフォードから西の部分です。
アルフレッド・ジュエルは、「私に忠誠を尽くすなら、私も決してお前たちを裏切らない」という国王と国民、お互いの忠誠の証として、国民に与えられたものとされています。
これによりアルフレッドは国民の心をつかみ、士気を高め、バイキングを撃退しました。
その後、軍事に力を入れすぎ、学問がおろそかになったことに危機感を感じたアルフレッドは、「かつて人々はラテン語を読み、難しい書物を理解した。それらは不可欠の知識である」と、自らグレゴリウスⅠ世の本を英訳しました。英国で最も古い書物と言われています。
「私はこれをすべての聖職者に配りたい。国民にも読ませたい。人々に学び、理解してほしいのだ」と自ら述べていたその本の内容はリーダーシップについてで、指導者はいかに行動すべきか・問題にどう対応するか・なぜ謙虚にすべきか…といったことが書かれています。
日本ではあまり知られていませんが、イギリスでの人気は非常に高く、さまざまなエピソードもあるので、機会があればまたご紹介したいと思います。
2011-01-08 17:24
nice!(2)
コメント(2)
トラックバック(0)
アルフレッドジュエリー、なんだか心温まるジュエリーですね^^
大王アルフレッドに関しては始めて知りましたが、とても人徳を持った王様なのですねw
by マイン (2011-01-11 00:13)
アルフレッド大王は英国ではかなり人気の高い王様です。
日本で言うところの上杉謙信じゃないかと勝手に思っておりますw
by Tarot-Reader (2011-01-11 23:06)